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久米繊維工業株式会社・本社プレスルーム   (2006)

10枚のTシャツがディスプレイされている吊り什器は、35尺=10500mmの長さで設えている。これは、この会社が1935年創業しており、その末尾の35に準えている。また、ドアの高さや開口部の高さは日本のスケールで全て70寸70分=2333mmで設えており、これも創業70年を記念し、このショップを開設新装した事を意味付けている。通路の幅やテーブルの距離感も一間、半間といった日本人が好む間合いに設定しおり、徹底して尺や寸、間や帖を活用している。

このような日本のモジュールを活用する事で、その設えられた空間は自ずと「日本」を感じるはずであり実際に海外から訪れたゲストからは「非常に日本的な空間だ」と評価されている。同時に、この空間は非常にフレキシブルに使用できるよう、メインとなる吊り什器以外は、イベントや祭事に合わせて可変するように創られている。このフレキシビリティも、日本のヒューマンスケールの最たるものではないのだろうか。この空間は、尺や寸、間や帖といった日本独自のモジュールを徹底して使用する事で余計な装飾物を廃し、簡素化(empty)させ、日本のヒューマンスケールを生み出すことができた好例である。